テナントの入居者は借主であり、火災を発生させれば家主にも責任が及びます。入居時には、消防用設備の点検をはじめ、防火のためのさまざまな手続きをしなければならないのです。あらためてテナント入居時の手続きの流れをおさらいしてみます。

建物自体の延べ床面積やテナントスペースを含めた利用用途により、消防用設備の設置基準が異なってきます。ビルオーナーは、想定される借り手の業種を見越して消防用設備を予め整備されている場合もあります。しかしながら、消火器や誘導灯などテナント利用時の内装などの変化が生じる場合もあります。賃貸契約時に、新設・増設・移設などを要する場合があるか？費用負担は？など･･･確認が必要です。

～その１～

○使用開始の7日前までに「防火対象物使用開始届出書」を提出します。

○修繕や模様替・間仕切りの変更などをする場合は、着手の7日前までに「防火対象物工事等計画届出書」を提出します。

必要な書類・資料の準備が必要です。防火対象物概要表、各種図面（案内図、平面図、詳細図、立面図、断面図、展開図）、室内仕上表や建具表などです。資料に表紙をつけて所轄消防に提出します。

さらにここで〝消防法上の用途〟が重要になります。

①建物（防火対象物）区分での用途、②入居されるテナントの事業区分での用途、③建物全体の収容人数、④対象テナントの収容人数

消防用設備の増設や移設が必要になったり、防火管理者選任に影響が生じるかもしれません。

～その２～

所轄消防署に相談しましょう。必要書類や消防用設備、防火管理者の選任等の説明を受けれます。事前の予約がお奨めです。

～その３～

用途や収容人員によっては、防火管理者選任が必要です。「防火（防災）管理者選任届出書」「消防計画作成（変更）届出書」を提出しなければなりません。

～その４～

所轄消防の相談の上で、消防用設備の増設・移設が伴う場合は、消防設備士にて設備設計に沿いながら機器工事を行います。事前準備で必要書類を取り揃えておくことでスムーズな工事を行えます。

～その５～

所轄消防署へ各種届出を行います。「防火対象物使用開始届出書」、「防火対象物工事等計画届出書」と必要に応じて「火を使用する設備等の設置の届出書」なども必要です。

～その６～

消防職員にて現地調査を受け、消防法令に適合していることの確認が必要です。

完了すると届出書の副本が返却されるので保管しておきます。

なお現地調査で不備があると、改修して再調査を受けなければなりません。ぎりぎりの期日の場合は事前の十分なチェックが大切です。

書き起こすと結構手順があります。

施工監理をする設計士さんや、施工業の方々も詳細を存じている場合が多いです。

ただ「居抜き」での供用を考えられているケース等で、相談できる先が限られる時などは、お気軽に相談くださいませ。

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